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2024年06月17日【歯科のお話】
歯周病外科治療

歯周病が進行してしまうと、歯肉だけでなく、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしていきます。
顎の骨が溶けていくと、歯の根(歯根)を支え続けることができず歯がぐらついてきて、最終的には抜け落ちてしまうことになります。歯周病が進行した状態には、基本治療だけで治らない場合もあります。
歯周病治療の流れ
歯周病治療の流れは、患者の状態や症状の程度によって異なりますが、一般的な治療の流れは以下のようになります。
① 歯周基本治療
超音波スケーラーなどを使って、プラークや歯石を除去。
② 再評価
良くなっているか、再度検査をして確認。
③ 歯周外科治療
歯石が歯周ポケットの深いところに入り込んでいる場合には、外科的治療の検討が必要となる場合があります。
歯周病外科手術について
◆歯周病外科手術の適応とその目的
適応 | ・歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットが残存している場合 ・歯肉などの軟組織や歯槽骨などの硬組織の形態異常によりプラークコントロールが出来ない場合 ・審美障害や適切な修復物の装着を妨げるような解剖学的形態異常 |
目的 | ・深い歯周ポケットを減らすため ・ブラッシング等の口腔ケアを容易にするため ・失われた歯周組織の再生を図るため |
◆歯周病外科手術の種類
歯周外科手術は患者さまの歯周病の症状やその目的によって、以下の4種類に分類されています。

- <歯周外科手術>
-
- 組織付着療法
- 切除療法
- 歯周組織再生療法
- 歯周形成手術
① 組織付着療法
根面を綺麗にし、再付着を促すことを目的として行う。
- <術式例>
-
- 歯周ポケット掻爬術
- フラップ手術
② 切除療法
歯肉を切除し歯周ポケットを浅くし、進行しにくい形態にすることを目的として行う。
- <術式例>
-
- 歯肉切除術
- 歯肉弁根尖側移動術
- 骨整形を伴う骨切除術
- フラップ手術
③ 歯周組織再生療法
失われた歯周組織を再生させ、新たな付着の獲得を得ることを目的として行う。
- <術式例>
-
- 骨移植術
- 歯周組織再生誘導法(GTR)
- リグロスやエムドゲインなどの成長因子を応用した再生療法
④ 歯周形成手術
歯肉の形態修正を行い審美性や機能性を得ることを目的として行う。
- <術式例>
-
- 小帯切除術
- 歯肉弁根尖側移動術
- 歯肉弁歯冠側移動術
- 歯肉弁側方移動術
- 遊離歯肉移植術
どのような治療法が適しているのかは、骨欠損状態、プラークコントロールの状態や歯周ポケットの深さ、などによって判断していきます。