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2024年07月19日【歯科のお話

お口開いたままになっていませんか?

「お口ポカン」とはいつも口が開いた状態でいる事です。
スマホやPC、テレビを見ている時ぽかんと口を開けていることはありませんか?
赤ちゃんや小さいお子さんのうちは可愛らしく見えますが、年齢が上がるにつれ、いつも口が開いたままだとだらしなく見えてしまいます。

医学用語では、唇の正常な閉鎖が適切に行われない状態のことを「口唇閉鎖不全症」と言い口腔機能発達不全の1つとされています。
この状態が続くことで、飲み込みや発音、顔の外観に影響が出てくる恐れがあります。
ちょっとした癖と思う方も多いかと思いますが、「お口ポカン」はれっきとした病気です。

また、年齢が高くなってしまうと、歯列の歪みが大きくなってしまうので、いかに幼い頃に「お口ポカン」を防げるかが重要になります。

口周りの筋肉のバランスが悪くなる原因

口輪筋(お口の周りの筋肉)の弱さが一番の原因ですが、下記のような原因も考えられます。

  1. アレルギー性鼻炎などによる鼻炎鼻がつまり
  2. 顔面の骨格の形態によって鼻の通りが悪くなっている
  3. 舌が正しい位置にないことや舌の誤った使い方をしているなどの舌癖がある
  4. アデノイド(咽頭扁桃)の肥大によって鼻の通りが悪くなっている
  5. 歯並びが悪いため、口を閉じることができない
  6. 肥満により鼻での呼吸がしづらい

リスク

口唇が正しく閉じられないことによって口が開いたままになることで、さまざまな影響を及ぼすリスクがあります。

日常的に口が開いたままでいる事で口の中が乾燥し、唾液の分泌量が減ることで細菌が繁殖し易い状態となるため、歯周病や虫歯、口臭のリスクが高まります。

鼻は外気から雑菌やゴミが入ってくるのをブロックする役割があります。そのため、外気が直接口の中へ入ってしまうことで、風邪やインフルエンザ、感染症にかかりやすくなります。

舌や顎の位置関係の歪みから、姿勢や歯並びに影響が出ることが多いです。

改善方法(治し方)

日常的に口が開いている「お口ポカン(口唇閉鎖不全症)」は口周りの筋肉が十分に発達していないことで、起こります。

ポカン口でいるとさらに筋肉の発達が遅れ、またポカン口が悪化するという悪循環に陥ってしまうこともありますので、口の周りの筋肉を鍛える事で改善が期待できます。

子供だけじゃなく、大人の方も「お口ポカン(口唇閉鎖不全症)」方はリスク軽減のため頑張ってください。

<口周りの筋肉不足している場合>

機能的に口周りの筋肉が弱い場合は、口周りのトレーニングをする必要があります。

「あいうべ体操」

食後に10回を一日3回を目安に続けることで舌の力がついて自然に口を閉じることが出来るようになります。

  1. 「あー」と口を大きく開く
  2. 「いー」と口を大きく横に広げる
  3. 「うー」と口を強く前に突き出す
  4. 「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす

1~4を1セットとして、1日30セットを目安につづけてください。

「風船トレーニング」

口輪筋を含む口周りのトレーニングです。

風船をめいいっぱい膨らまして口から離し、空気を抜いてから再び膨らまします。これを何度も繰り返し1日3分以上続けまししょう。最初は、風船を膨らませられない場合は口周りの筋肉不足ですので繰り返し練習し風船を膨らませるように頑張りましょう。

「ベロ回し体操」

唇を閉じて、上下の歯の外側にそって舌をぐるりと大きく2秒に1回のペースで回します。これを時計回りと反時計回りに同じ回数行います。舌の筋肉は案外多くの方々が若くても衰えているので、5回ずつ回すだけでもつらいという方もいると思います。最初は5回でもいいので無理せず、少しずつ回数を増やしていき、慣れてきたら20回を目標にしてください。1日3度、毎食後に行いましょう。

<舌位置が正常でない場合>

日頃の舌に位置を確認し意思改善が必要です。

スマホを手にした時、テレビのリモコンを触った時など、日々のルーティーンの中に組み込む確認し意識して下さい。

<舌が短い(舌小帯短縮症)場合>

舌の裏側の筋が先天的に繋がっている状態で、舌を自由に動かせず動きが悪くなっている場合があります。その場合は、舌の裏の筋(舌小帯)を切除する必要があります。

<歯並びが悪い・口が閉じにくい場合>

すでに歯並びに影響が出ている場合は、物理的に口が閉じズらくなっている場合があります。その場合は矯正治療が必要になります。

<口を開けたままの状態が癖付いている場合>

「口呼吸テープ」

就寝時に口は開かないように使用するテープです。

ドラッグストアやAmazonなどで購入出来ますので試してみて下さい。

<慢性的な鼻炎がある場合>

慢性的な鼻詰まり、鼻水、アレルギー性鼻炎などがある場合は、耳鼻咽喉科などの専門医を受診しましょう。アレルギー性鼻炎は慢性化しやすいため、口呼吸が習慣化する前に治療することも重要です。

お口ポカンにつながる姿勢

ひと昔前と比べ、現代生活はあらゆることが便利になったために体を動かすことが極端に減りました。畳にちゃぶ台での食事がテーブルとイスになり、布団の上げ下ろしもなくなりベッドに、トイレは和式から洋式に。立ったりしゃがんだりの動作がなくなり、今では和式トイレを使えない、しゃがめない子どもも増えました。

日常の、水道の蛇口をひねる動作や雑巾絞りをするなどの動作もなくなり握力も弱く、ペットボトルが開けられないなど手先が器用に使えない子も多いようです。

もちろん子どもの遊び方も変わって、テレビゲームやスマホゲームなどが中心で、木登りや、公園の遊具やボールなどを使う遊び、昔でいえばコマ回しやメンコ、ビー玉遊びのような、体を使った遊びをすることが極端に減ってしまいました。最近ではコロナでの影響も特に多いでしょう。都内ではお子さんの遊び場が足りないという問題もあります。

よく見かけるお子さんの姿勢といえば、いちばん多いのは、骨盤が後傾してお尻の後ろの方で座り、猫背になり、首の後ろをポキッと折って、あごが上がってしまっている姿勢。もしくは、ソファなど後ろに寄りかかって丸い背中で足を投げ出して座り、スマホやゲームをする姿勢。食事中はというと、同じくお尻の後ろの方で座り足はぶらぶら、左手を椅子についたり、片足を椅子にあげてしまったり、顔がお皿に近づいて犬食いという姿勢。すぐに足を組んでしまう子も多いです。思い当たる節があるのではないでしょうか?

全身は皮膚や筋肉とそれを包む筋膜により繋がっています。消化器などの内臓も口腔から肛門まで繋がっています。悪い姿勢をしていると、その繋がった筋肉や臓器などにひっぱられてしまうことで、お口をぽかんと開けてしまうことになったり、舌が下がりうまく使えなくなってしまうことになります。そしてお子さんの正しい口腔周囲筋の機能を育てることができず、あごの発達を抑制してしまうことにつながり、結果歯並びが悪くなってしまうのです。

下あごは、それ自体に可動性のある二つの関節によってぶら下がった特殊な骨です。上下の歯が軽く触れる状態にして、上を向いたり下を向いたり、または真っすぐ前に顔を出したり後ろに下げたりしてみてください。頭の動きと反対に下あごが動いているのがおわかりになるでしょうか?上を向いたり前に動かしたりすれば下あごは後ろに下がり、下を向いたり後ろに動かしたりすれば下あごは前に出てくるのです。

例えばいちばん多い猫背の姿勢の場合、首が前に出てあごが上がってしまうので、下あごは後ろに下がり、唇は開きやすくなり、舌は後下方にひっぱられ、奥歯のみが当たってくる咬み合わせになってきます。皮膚もつながっていますから、顔は垂れ目になり口角は下がり、中から舌が押し広げる力のない歯列を頬の圧力によって狭めていきます。

いい歯並びになる3つの基本姿勢

  1. 常に鼻で呼吸をし、唇が楽に閉じられる事 
  2. 舌が上あごに広くピッタリと付いている事
  3. 上下の歯が離れていて噛みしめてたり触れてもいない事

当院では、通常の矯正治療に加え口呼吸の改善や鼻呼吸獲得のため、MFT(口腔筋機能療法)や姿勢を良くするための指導や食事指導などについても力を入れています。

初回の矯正相談は無料ですので口呼吸にお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。