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今回はMTAセメントについて、お話ししたいと思います。
通常、大きなむし歯（虫歯・齲蝕・う蝕）ができ神経まで達している場合は、抜髄（歯の神経を取る）処置が必要になります。
しかし、歯の神経を取ると歯の栄養が絶たれ歯がもろくなったり、神経が無いことで虫歯の再発に気づきにくいことなどで結果的に歯の寿命が短くなる傾向があります。
歯を末永く残すためにも可能な限り神経を取り除かないことが良いと考えています。

そこで、近年注目されているのが、MTAセメントです。

MTAセメントについて

＜MTAセメントとは＞

MTAセメントは、根管治療(歯の根っこの治療)や抜歯の回避を期待して使われる特殊な材料です。
主に、深い虫歯や根管治療などに用いられます。

＜MTAセメントの成分＞

＜MTAセメントのメリット＞

✔︎強い殺菌作用をもっている

MTAセメントは強アルカリ性（PH12）で、高い殺菌効果があり、多くの細菌を破壊することが可能です。
（通常ほとんどの細菌は、PH9.5で破壊されます。）
また、良質なデンチンブリッジ（保護層）ができやすくなるため、歯の神経を取らなくてはならない場合でも神経を残せる可能性が高くなります。

また、根管治療をしても、なかなか痛みや違和感が取れなかったり、排膿が止まらなかったりして、治癒しない場合があります。そうなると多くは抜歯せざるを得ないのですが、MTAセメントを使用することで抜歯をせずに済む可能性が高くなります。

✔︎辺縁封鎖性・硬組織誘導能が優れている

歯根に穴が開いている (パーフォレーション)場合やヒビが入っている場合は、通常抜歯になりますが、MTAセメントで穴やヒビを封鎖して、抜歯を回避できる可能性があります。

✔︎親水性がある

口の中は水分、組織液、血液などで湿った状態ですが、MTAセメントは濡れている状態でもしっかり硬化します。

✔︎生体親和性が高い

MTAセメントは体の中に入れても悪い影響の少ない、体にやさしい素材です。

✔︎セメントが硬化するときに膨張する

MTAセメントは硬化時に膨張するため、より緊密に患部を封鎖することができます。

＜MTAセメントのデメリット＞

1. 全ての症状において使用できるわけではない
2. 保険適用外
3. 根管内に入れた場合は、固いので除去が困難