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「我慢していると虫歯は治る!」都市伝説の真相②

誰しも歯に痛みを感じたとき、歯医者に行くのは嫌なものです。
ごく稀に、「歯が痛かったけど痛くなくなった」と言う方がいますが、我慢していると虫歯が自然に治るなんてことはありえません。
そこで今回は、「我慢していれば治る」という都市伝説の真相を解明し、虫歯の早期治療の重要性についてお伝えします。
虫歯の進行と痛み
虫歯が進行するにつれて、痛みが現れることがあります。この痛みの原因は、虫歯が進んで歯の内部である神経に到達するからです。
虫歯の進行段階は以下のように分類されます。

- C0(初期虫歯):表面のエナメル質に微細な変化が見られる段階です。通常、痛みはありません。
- C1(エナメル質の虫歯):エナメル質が虫歯菌によって溶かされた状態ですが、ほとんど痛みを感じません。
- C2(象牙質の虫歯):象牙質に進行し、痛みが感じられるようになります。
- C3(神経まで進行):虫歯が神経まで到達し強い痛みが現れ始めます。次第に持続的な痛みの後、神経が死に切ると痛みが消失します。
- C4(残根):虫歯が進行して歯冠が崩壊し根っこだけの状態です。
痛みが消える理由

虫歯の痛みが一時的に消える原因はいくつかありますが、その多くは実際には症状が悪化しているサインであることが多いです。
以下に主な理由を挙げます。
<1. 神経の死>
虫歯が進行し、歯の神経(歯髄)まで到達すると、強い痛みを感じます。
さらに虫歯が悪化して神経が死んでしまうと、痛みを感じなくなっていきます。この状態は一見痛みが消えたように思えますが、虫歯の進行は止まっておらず、歯の根の炎症や顎骨への感染が広がっていきます。
<2. 一時的な炎症の軽減>
痛み止めなどによって一時的に炎症が軽減され、痛みが収まることがあります。
根本的な虫歯の原因は残っているため、また痛みが再発します。
<3. 圧力の変化>
気圧の変化で痛みが増悪する場合がありますが、その場合は内圧が下がると痛みが軽減します。
<4. 感染の広がり>
歯髄の感染が歯の根の先や周囲の骨に広がると、初期段階では激しい痛みを伴いますが、感染が慢性化すると痛みが鈍くなり、一時的ではありますが完全に消えることもあります。
しかし、これも放置しておくと膿瘍(膿のたまり)や顎骨内に感染が広がっていきます。
早期治療の重要性

歯が痛いと感じたら、すぐに歯医者に行くべきです。
痛みが収まったからといって虫歯が自然に治るわけではありません。むしろ治療が大変になることがほとんどです。
早期治療には3つの大きなメリットがあります。
- メリット
-
- 1つ目は治療の簡素化。
軽度の問題は簡単な治療で済むため、通院回数や治療時間が少なくなります。 - 2つ目は費用の軽減。
虫歯や歯周病が進行する前に治療すれば、治療費が抑えられます。 - 3つ目は歯の保存。
初期段階で治療を行うことで、ご自身の歯を長く維持することができます。
- 1つ目は治療の簡素化。
まとめ
痛みがなくなって「治った」と勘違いしてしまうことから、このような都市伝説が広まったのかもしれません。しかし、痛みがなくなることは、実は虫歯が進行している危険なサインです。
歯や歯茎に痛みを感じた場合は、早めにチェックを受けることが非常に重要です。
私たち歯科医としても、虫歯が軽いうちに治療できるほうが、治療の難易度が低く、患者さんにとっても負担が少なく済むため、お互いにとって良い結果となります。
症状が悪化してからの来院は、治療が大変になることが多いので、定期的な受診と早めのチェックを強くお勧めします。